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アルツハイマー病治療薬レマネマブ(レケンビ®)の解説動画

[2024.04.23]

アルツハイマー病の全く新しい治療薬(レカネマブ)が登場しました。この薬がなぜ革新的なのか、その一方何が限界なのか、どのような方に投与可能なのかなどを紹介した動画です。大阪認知症研究会(2024年1217日 千里中央 http://www.dementia-osaka.jp/nenpou1.html )で約400名の方々にご聴講いただき好評だった内容を、改めて動画で収録しました。

院長は米国UCLAでアルツハイマー病患者さんのアミロイドβを軽減するための基礎研究をしていました。その時の研究成果(PMID: 12421374 )が筆頭で引用される形で、当時世界最大規模のアルツハイマー病の疾患修飾薬の治験(FLURIZAN)が行われました。疾患修飾薬の開発成功のために、その後も数々の難問を、世界中の研究者や企業が解決していきました。そしてレカネマブが登場し、ついにアルツハイマー病の疾患修飾薬を患者さんにお届けできる時代になったと、感慨深いです。

 

演題タイトル:認知症の最新動向:今できる治療、これから登場する治療

要旨:現下の状況はアルツハイマー病治療の革命前夜かもしれない。われわれが現在使える薬は症状をいくらか改善するが、脳病理そのものの進行に対して無力である。これに対し、昨年臨床治験に成功し年内に保険診療が認められるかといわれている新薬は、症状の進行抑制を脳病理改善により実現している。本講演では新薬の革新性と同時に残された課題を、アルツハイマー病解明の歴史や現在の治療薬の有用性と限界など、様々な視点から解説する。

アルツハイマー病は1906年にドイツ人精神科医であるアルツハイマー博士が最初に報告した疾患である。当時の平均寿命はドイツでも短く45才であり、アルツハイマー病は稀な疾患であると考えられた。その後、社会が高齢化したり疾患への理解が深まったりしたことで、アルツハイマー病は多くの高齢者が罹患している疾患であることが分かってきた。治療薬については、患者数が多いにもかかわらず、無い時代が長く続いた。やっと(我が国の場合)1999年になりコリンエステラーゼ阻害薬が登場した。この薬は症状をいくらか改善したが、その効果は限定的であった。人口の高齢化に伴う患者増加の方に勢いがあり、アルツハイマー病は人類にとって益々深刻な課題となった。

世界中の研究者、企業、医師や当事者が画期的な新薬開発のため20年以上真剣な努力をした。この努力は演者の基礎研究もきっかけになり実施された米国の大規模臨床治験も含む。しかしながらこれらの臨床治験はことごとく有効性を示せず、その数は100を超えた。アルツハイマー病の新薬開発から世界の大手製薬企業さえも撤退を始めた。重苦しい雰囲気の中、ついに新薬の開発成功の吉報が昨年届いた。

本講演では、この新薬の何が画期的なのか、そして残っている課題は何なのかについてしっかり述べていく。新薬に関する確かな事実を紹介する。賛否両論がある部分については、それぞれの意見の背景をできるだけわかりやすく解説する。本日の講演が、アルツハイマー病の画期的な治療法の理解の一助になれば幸いである。

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